無気力プログラマの読書感想

主に読んだ本の感想を書いていきます。
たまに他のことも書くかもしれません。

図書館の魔女

文庫版図書館の魔女を読破しました。


2回目でしたがやはりこの作品の面白さは桁違いです。

大陸の覇権を握る一の谷と海峡を挟んで対峙するニザマの政治闘争といえばそれまでなのですが、国内での諜報戦から国同士のそれぞれの利益や思惑が絡んだ戦争まですべてを言葉ひとつを頼りに見事なまでに操っていってしまうマツリカの手腕とそれを支えるキリヒトと司書たちのチームワークが読み応えがあり本当に面白い。

また登場人物一人ひとりがとても個性的で、しかも非常にリアリティを感じます。全員にそれぞれ何気ないくせがあり、ともすればややしつこく思えるほど度々そのくせが描写されることでまるでその人物が実在するかのように錯覚させられ、より物語に引きずり込まれました。

そして何よりキリヒトとマツリカのコンビがたまらない!修羅場を力を合わせてくぐり抜けていく様ももちろんいいですが、ふとした瞬間の軽口の応酬と気を抜いた時に見せる年相応の姿と2人だけの時の親密さが読んでいるだけで口元が綻んでしまって人前では読めないこと請け合い。まだまだシリーズは続きそうですが、この策謀が吹き荒れる気のふれたような世界が正され、いつか役目も何も関係なくマツリカとキリヒトの2人が図書館で穏やかに幸せに生きていくことができるようなそんな結末が訪れればいいなあと願ってやみません。